TENGANAN再訪
今、手元にある「地球の歩き方」によれば、「ここはバリ島の先住民であるバリ・アガの村」で、「村には約700人が住んでいるが、現在でも伝統文化や戒律が厳しく保たれ、現在でも女性は村外出身の男性との婚姻が許されていない」とのこと。
行ってみると、バリカレンダーを売る人や、織物の実演販売やアタという植物で作ったカゴを中心とした土産物屋が多く、ちょっと予想と違うという印象は否めませんが、ここには有名な織物があるのです。
それは、'Kamben Gringsing'(カンベン・グリンシン)という、ダブルイカット(経緯絣)の布。経糸だけでなく、緯糸も防染して染め、伝統的な模様を織り出します。
もともとこの布には、無病息災を祈るという呪術的な意味があり(「グリンシン」とは無病息災という意味)、魔除けとして身につけられたそうです。
世界中で、ダブルイカット(経緯絣)が織られている場所は、3ヶ所しかないというのが定説で、そういう意味でも、布好きには興味深い場所です。(因みにあと2ヶ所はインド、グジャラート州パタンのパトラという織物と、日本の久留米絣と聞きましたが、インドの別の場所の織物や日本の大島紬などにも見られるようです。10年以上前にパタンにも行きましたが、近代的な工房だったように記憶しています。)
あ…ネット検索でこんな素晴らしいサイト発見。川口えり子さんの「インド染織紀行」。
インドのテキスタイルについてとても詳しく書いてあります。
今日見学させていただいたのは2ヶ所。
まず、訪れたのはここ。織りの実演。当然販売もしています。
括って、これから染める糸。
後帯機(バックストラップ)で織ります。1番小さい幅約20cm、長さ約140cmの布を3週間で織り上げるそうです。スゴ〜い❗️
糸は細く、しかも経糸と緯糸を模様にズレがないように合わせて、しかもこの姿勢で…。(身体で経糸のテンションを張るのは、腰が痛くなります。私も1度だけ挑戦したことがありますが。)
左は3人兄弟のうちの1人が死んだ時に着せる布、右はトゥガナンのシンボルとのこと。
次に訪ねた所には、日本語の看板が。
整経。
括って染められた糸には5年くらいの年月がかかっているそう。染めた後3ヶ月置く、次の染めをして3ヶ月置く…を15回繰り返すそうです。
完成品。左は織ってから15年経過。右は5年経過。年月が色の変化を生み、成熟した布になる。色に深みが出て、左の方が格段に良くなっているのは明らか。人間も…きっと、同じ、ですよね。。
(因みに5000万ルピア。1円=約115ルピア。計算してください。)